■痴態教室■ 流河を陵辱してから1週間がたった。 あれからあいつは大学に来ていない。かわりに、翌日僕が学校から帰ると、部屋全体を誰かが嗅ぎまわった 気配があった。物の配置ひとつ変わっていないが、すべての本が棚から出され、また仕舞われた---- 微妙な隙間が変わった奇妙な違和感。どうやら流河が部下にでも家捜しをさせたのだろう。 無駄だよ。データは常に僕が持ち歩いている。 僕は映画研究会の女に一声かけて、編集室を借り切り、例のデータを僕の姿が一切残らない様編集した。 女には、ちょっと困ったような顔をして、家のデッキが壊れてね、なんて呟いて、お礼に食事の約束をしたら 見事な動きで面倒な手続きを終えてくれた。はは。いつもながら簡単だ。 音声を消して、画面の中の流河を観る。鞄に仕込んだカメラは電車の中ではやや下からのアングルで、 個室では荷物掛けにつるされた状態から、流河の表情の変化を詳細に記録していた。 戦慄く唇。挑戦的な瞳に動揺の色が浮かんでいく過程。そして、 僕に組み敷かれて喘ぎながら、いやらしい言葉を紡ぐ口の動き。僕はその唇が言葉を形づくる動きをスローで 再生した。 無音の世界で、卑猥な言葉の形に唇が動く。 『わ』『た』『し』『の』 『い』『や』『ら』『し』『い』『に』『く』『あ』『な』『を』 唇を震わせつつも、淡々を言葉を吐き出していた流河が、最後の言葉で耐え切れずに頬を紅に染めた。 愉快だ。 退屈など、お前が吹き飛ばしてくれるね。 3日後、流河は教室に現れた。 階段教室の一番後ろに座る僕を見つけると、一瞬体を強張らせた後、のろのろと階段を上り僕の左隣に腰を下ろし、 いつもの様に膝を抱えた。 「最近見かけなかったからね、心配したよ」 「仕事が忙しかったんですよ…」 「でも、今日は来てくれたね?僕のお願いを聞いてくれて嬉しいな」 眉間を寄せて流河が僕を睨んだ。 「あんなものを送りつけられて、来ないわけにはいかないでしょう」 流河の携帯に送りつけたのは、あるサイトのアドレス。 僕はアダルト動画投稿サイトに、海外のサーバーを幾重も経て例の動画を投稿した。電車の中で、下半身を露にされていく 流河を下から仰ぐ様に写した、品のない淫靡な映像。特徴的な目がうつらない様編集したが、 知っている者には流河だとわかるかもしれない。 白く痩せた体とはアンバランスな、下腹部に息づく きめ細かい紅色の先端を持つ肉茎は、内臓の様に生々しく、それがこの、性的な匂いを感じさせない体の付属物なのだと いう事や、恥辱に耐えつつもあきらかに感じて、崩されていく様が、観る者の歪んだ欲望を刺激するのだろう。 わずか数日でアクセス数はたいしたものになっていた。 明日学校に来ないと、顔を映したバージョンを投稿し、父さんにメールで教えるというちゃちな脅し文句を添え、 流河にアドレスを送信したのだ。 「正直、夜神くんはもっと用心深いタイプだと思っていました。こんな…」 「こんな馬鹿な事をすると思わなかった?」 最上の笑顔でそう言う僕に、流河は白けた視線を送る。 「…わけがわかりません」 僕はノートを開くと、ペンを走らせた。不思議そうに流河がそれを覗き込む。 『僕だって流河はもっと用心深いと思っていたよ。』 『満員電車の中で勃起する様な奴だとはね』 ペンの先を見つめていた流河が、さっと顔を上げ大きな瞳で僕を見た。何か言おうと薄い唇を少し開いたが、 僕のペンケースを勝手にあけてペンを摘まむと、ノートを引き寄せ、流河を挑発した文章の下に文字を綴った。 『お父さんに教えたりしたら困るのは夜神くんじゃないですか。そんなサイトをチェックしていると思われます』 奇妙な持ち方で綴られた、少し右肩上がりの、癖の有る文字。小さめでやや縦に長いそれは、決して悪筆ではない。 はらいや留めを守ったその文字は、流河の見た目とは逆に、十分好感を抱くものだった。白いノートに並ぶ小さな可愛らしい文字を 見ているうちに、また僕の薄暗い悪戯心がむくむくと胸に湧き上がる。僕はまたペンをとった。 『その姿勢のまま腿の付け根までジーンズを下げろ。下着ごとだ』 真剣に講義のノートをとっている様な顔でろくでもない事を書く。そして、にっこりと流河に向かって微笑んだ。 本当は授業が終わった後どこかでゆっくり苛めようと思っていたのだけれど。 呆然と真丸に開いた瞳が、ノートの一点を見つめている。俯いた黒髪の隙間から覗く横顔はいつも以上に 色を無くし、死刑の宣告を受けた囚人の様だった。 しばらくただノートを見つめていた流河だが、気丈にまたペンをつまんだ。 『ご両親が悲しみますよ』 情に訴える作戦か?僕は早く行動に出る為、一気にペンを走らせる。 『この動画は大学ではすごい噂になっていて、僕も友達から教えてもらったと父さんには言う。 こんな場所で、こんな事をされて喜んでいる人がLだなんて、信用できない、幻滅だとね。僕は心配ない、 僕だと認識される映像は徹底的に消した。お前を握る指は少々映っているけど、僕の指にはほくろもないし あの程度の映像ならわからないだろう。それよりも、誰だって勃起して涎をたらすお前のものに目がいくよ』 まるで用意していたかの様に、すらすらと流れる僕の文章を流河が黙々と目で追っている。気にせず僕は続けた。 『無論父さんはそんな事でお前を信頼しなくなる、などという事はないだろう。人には色んな性癖がある…ってね。』 「!!」 流河が身を硬くした。僕が左手を流河の折りたたんだ腿の上に置いたのだ。右手で文字を綴りながら、 僕は真面目に講義を聞いている顔で流河の腿の内側を撫で回した。 『だけど、あんないやらしいお前を父さんに見られる、それが嫌だったんだろう?だから来たんだろう? 意外と人間らしい羞恥心持ってるんだね』 掌を股間に滑り込ませる。いつもM字に足を開いている流河がとっさに膝を合わせた。やや大きめの文字で 僕は、もう一度最初の一文を書き、流河の目の前に置く。もう、僕の唇が笑みを作る事はなかった。 『膝は開いていろ。ジーンズを下げろ。下着ごと』 ジーンズを下げていく様は見ものだった。 歯を噛み締めてフロントの釦をはずし、細い指でファスナーをつまむと、前の席の生徒達に気づかれない様 音をたてず、じり、じりとジッパーを下ろす。椅子の上でうさぎ跳びをする様にやや爪先立ち、 やや躊躇った後、そろそろとジーンズと下着を言われた通りに腿の付け根まで下ろした。 僕は頬杖をつき、横目でそれを眺めていた。冷ややかな視線を送っているつもりではあったが、食い入る様に僕は見ていた。 ジーンズを下ろす、決意に固くこわばった拳に筋が浮かんでいる。誰かに見られるかもしれない緊張と、 僕に見られている羞恥で喉仏が上ずる。そのすべてが眼に楽しい。 そして流河の萎えた性器が現れる。それは緊張のあまりか先日よりも縮んでしまっていた。そんなところも かわいいじゃないか。でも、今日の目的はそこじゃないんだ。後ろの狭いな器官をこの前はひどく虐めてしまったから。 僕は用意していたローションを机の下でたっぷり左手の中指に滑らせると、流河の後孔の周囲を指でなぞった。 竜崎の喉がわずかに引き攣れた音を鳴らす。皺にそって丁寧に指の腹で揉み、周囲をほぐす。 『この前知識不足で酷くしちゃったからね。勉強してきました』 僕はノートにそう書くと、ちょっとおどけた顔をしてみせた。そして中指を第一間接まで侵入させる。 「…………っ ……………ーーーー!!」 無表情を決め込んでいた瞳が見開かれる。反射的に流河は臀部の筋肉を収縮させ、僕の指を締め付けた。 だが指はローションの助けを借り、今回は侵入に無理を感じない。 内部を傷つけぬ様ゆっくりと肉の中に指を進める。熱い。 体温が低いお前の中がこんなに熱いなんて。 無意識に体が動くのか拒否の態度か、僕の指を排出しようと内部がうねうねと蠢いた。今ここに僕のものを挿入したら どんなに気持ちがいいだろう。細かくうねる内臓の形を確かめながら、僕は指を付け根まで侵入させた。 一区切りついたところで、教授の持つチョークの動きを眺めていた僕は、また流河に視線を流す。 流河はノートに視線を落とし、声を出すまいときつく唇を結んでいた。そして震える指でペンを取り、ノートに 文章を綴り、読めと細い指で指し示した。 『夜神くんは変態です』 やや震え、怯えるような文字。だが文面は冷静に僕を挑発する。はは。面白いじゃないか。 変態か。そうかもしれない。お前に会うまで、男に欲望を抱いた事などなかった。それもこんなやり方を するなんて、本当に僕らしくない。だからお前も、僕に抱かれるなんて推理はできなかったね。 L、安心しろ。 こんな事になっているのはお前が無能だからじゃない。 怯え、感じるお前が、予想外に可愛かったからなんだよ。 「うっ…ーーー……」 更にローションを人差し指に垂らし、二本目の指を挿入する。苦しいのか、流河が小さく喘いだ。 前回指一本で狭さを訴えていたそこは、人工の蜜のおかげで意外と楽に内部へ迎え入れてくれた。 しばらく肉の感触を楽しんでいたが、ずるりと抜き差しをはじめてみる。たっぷり吸い込まれたローションが 微かにぴちゃぴちゃと音をたてた。排泄するための器官に挿入される違和感と、挿入と排出を繰り返され、何度も 排泄感覚を刺激される嫌悪感か、流河が左手で口元を押さえた。おいおい、吐くなよ? 流河がまた何か書き始める。 『きたないです』『何かんがえてるんですか』『そんなところにゆびを入れて』 文章に平仮名が増えた。漢字を書いている余裕をなくしてきたのだろう。 …まあね。でも不思議だね。怯えるお前を見る為なら、なんだって出来る気がしたんだ。 そしてお前の穢れのない性を汚す事が、お前の心も踏み躙れるとわかった以上、僕はこの位迷わない。 むしろ、録画を何度も観ながらーーもう一度お前の中をこの指で、自分の猛るもので掻き回したくて仕方がなかった。 その時のお前の唇が、恥辱に戦慄きつつも甘く鳴きはじめる、あの征服感。 射精よりも気持ちがいい。 ああ、だから僕は今…こんな場所で、流河を気持ちよくしてあげようと思うんだね。 自分が気持ちよくなるわけでもないのに、屈辱に震える流河を観ていると心が満たされるよ。 恥ずかしければ恥ずかしいだけいい。屈辱ならば更なる屈辱を与えたい。感じるならばーーーもっともっと ほどけるがいい。そうして僕に支配されていけばいい。 僕は指を曲げ、流河の腹に向けて腸壁を押しながら内部を探る。確かこの辺りだ。しばらく指で内側を 数箇所刺激すると、小さなしこりを感じた一箇所で流河の体が跳ねた。はは、その姿勢で、まさにうさぎ跳びだ。 『僕と流河だけの授業をはじめようか。ここは前立腺といってね、』 指を細かく振動させ、流河の肉壁の感じる部分を刺激する。 きつく結んだ唇が戦慄いた。 『男ならば誰でも感じる素敵なスイッチだよ』 「!!………… …っ……!」 そこを急に強く押してやると、肩をぶるりと震わせて、足の指を固く丸めた。膝に置かれた掌は、 ジーンズに皺が寄るほど膝頭を掴んでいる。白い頬は一瞬で朱に染まり、呼吸を荒げた。へえ。そんなにいいんだ。 僕は集中的に、その敏感な肉を攻め立てた。 「!!… ! !! … !!! !!!!! … !」 指でそこをノックする度に、びくびくと流河の内腿が痙攣する。 期待通りの過剰な反応に、僕は笑みが漏れるのを堪えきれない。 僕は更に授業を進行した。 → |